【ピル処方の窓口】さかえクリニック院長、末武 信宏医師のピルの見解

ピルは、避妊を目的としたホルモン剤で、正しく服用すれば約99.7%の避妊効果を期待できると考えられています。
ただ、限りなく100％に近いとはいえ絶対に妊娠しないわけではなく、実際にピルを服用しているにも関わらず妊娠してしまったというケースもあります。
ピルを服用しても効果が得られない場合というのは、薬剤の成分が身体に適切に吸収されない場合です。服用後数時間以内に　嘔吐や脱水を伴うようなひどい下痢が続いているような場合は、ピルの効果が得られない場合があります。
絶対に妊娠を避けるという場合には、ピルを飲んでいたとしても万が一のことも考え膣内射精（中出し）するのを受け入れるのは控えましょう。

アフターピルは薬局やドラッグストアで買えるようになりました。(2024年1月時点)。公益社団法人日本薬剤師会の特設サイトによると、全国145の薬局でアフターピルを販売しています。

ピルを飲むと　エストロゲン（子宮内膜を厚くして排卵が起きないようにする）、プロゲステロン（子宮内膜を薄くする）というホルモンによって排卵が起きず、子宮内膜も限りなく薄くなることで生理がこないという現象が起こるのです。このためピルを飲んでいる期間は生理は来ず、休薬期間に生理が来ます。

ピルを飲み忘れた期間によって、服用を続けてもいい場合や中止したほうがいい場合と対処法は様々です。
＊3日以上ピルを飲み忘れた場合はピルの服用を中止する
3日以上ピルを飲み忘れてしまうと排卵が起こってしまい、生理が来てしまいます。
生理が来た場合は、服用を中止しましょう。
ピルの服用を一旦中止してから出血が終わってから新しいシートを飲み始めましょう。

排卵日を調べる方法はいくつかあります。
自分で簡単に調べることができます。

1排卵日予測検査薬
ホルモンの濃度が検査薬でわかる。
黄体形成ホルモン（LH）の数値は、排卵が起こる前に一気に上昇し、これをLHサージと呼び、LHサージから約40時間以内に排卵が起こるといわれています。これをとらえ排卵日を約1日前に予測できるのが、排卵日予測検査薬。
方法も尿をかけるだけとシンプル。

2基礎体温測定
排卵の有無を知る目安として。
起床直後の体を休めている時の体温である基礎体温測定を日頃より実施して、身体の変化を日々把握するとよいでしょう。排卵日を事前に予測することはできません。

3おりものの状態
排卵が近づいたサイン
おりものは月経周期に合わせて分泌されるホルモンの影響を受けるため、排卵前のおりものは透明で粘着性。このようなおりものが出た場合は排卵が近いサインです。

4アプリで管理
身体の周期のチェック
基礎体温を記録、月経日を入力すると月経周期から排卵日や次回月経予定日を予測できるアプリが多くあります。
妊活アプリともいわれています。

妊活アプリの基本的な機能
• 基礎体温の管理：入力を簡単に行える
• 生理日の管理と予測：簡単な入力と自動で予測可能
• 排卵日の予測：自動で予測可能
• 妊娠可能性：妊娠しやすいか、しにくいかを確認できる

5卵胞の超音波計測
医療機関での検査
超音波診断機器による卵巣の卵胞の大きさを測定し排卵日を予測。
卵胞の成長具合を確認してタイミング指導を受けるため精度が高い方法です。
個人差もあるためにこの検査が合わない方も。

フリウェルは月経困難症の治療薬として用いられるピルです。
低用量ピルと超低用量ピルの2種類があります。
避妊効果は期待できないため、避妊を目的として処方されることはありません。
「ルナベル」というピルのジェネリック医薬品として開発され、「LEP製剤（低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤）」とも呼ばれています。
フリウェルは他のピルよりもホルモンの配合量が少ないため避妊目的ではなく、月経困難症の治療目的で使用されます。フリウェルで含まれる有効成分は、ノルエチステロン（黄体ホルモン）とエチニルエストラジオール（卵胞ホルモン）です。ノルエチステロンとエチニルエストラジオールの作用により排卵を抑制。月経時の痛みを軽減する作用があります。

ピルは一部薬局やドラッグストアーで購入できます。
現在試験的に緊急避妊薬を販売しているためです。しかし、購入には薬局への事前相談が必須となりますのでご注意ください。
＊アフターピルは市販される可能性
ピルの中でも、アフターピルは市販が可能か否かという議論が、厚生労働省で行われています。正式な解禁時期は未定であり、リスクもあることから慎重に検討されていますが今後、市販継続の可能性も否定できません。

72時間以内に服用すると97～98%で妊娠を防ぐことができますが、早ければ早いほど効果があります。 72時間を過ぎてしまっても120時間以内であれば効果はありますが、63%と避妊成功率が低くなってしまいます。
色々な薬剤による方法があります

それぞれ特徴があり自分に合った方法を選択します。

レボノルゲストレル法
レボノルゲストレル法は72時間以内に1錠を飲むことで妊娠を防ぐ方法。
国産品のレボノルゲストレルと輸入品のアイピルの2種類の薬剤があります。
服用回数が1回で済む、副作用が少ない特徴があります。

ヤッペ法
ヤッペ法はプラノバールという薬剤を2錠、12時間後にさらに2錠を飲むみます。費用が安く済む特徴があります。

ウリプリスタール法
ウリプリスタール法は120時間以内1錠を飲むことで妊娠を防ぐことができます。
他の方法に比べ長い時間効果を得ることができます。

もちろん失敗する可能性もあります。
アフターピルの効果は１００%ではありません。膣内射精後の経過時間、服用する薬剤によってもその有効性が異なります。
国内で使用されています、アフターピルは主に「レボノルゲストレル（ノルレボ錠など）」「ヤッペ法（中用量ピル）」「ウリプリスタル 酢酸エステル（エラワンなど）」の3つの薬剤に分けられます。
※エラワンは国内未承認の薬剤です。

それぞれの妊娠率（3つの論文データを元に作成）

薬剤	妊娠率（失敗率）
レボノルゲストレル	1〜2％
ヤッペ法	2.0～2.9％（72時間以内に服用）
ウリプリスタル 酢酸エステル	1.7％（120時間以内に服用）

失敗率が1％前後で変動。

別のデータによる、レボノルゲストレルとヤッペ法の妊娠阻止率は以下。

薬剤	妊娠阻止率（72時間以内に服用）
レボノルゲストレル	85％
ヤッペ法	57％

※引用：日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針（平成 28 年度改訂版）」

もちろん失敗する可能性もあります。
アフターピルの効果は１００%ではありません。膣内射精後の経過時間、服用する薬剤によってもその有効性が異なります。
国内で使用されています、アフターピルは主に「レボノルゲストレル（ノルレボ錠など）」「ヤッペ法（中用量ピル）」「ウリプリスタル 酢酸エステル（エラワンなど）」の3つの薬剤に分けられます。
※エラワンは国内未承認の薬剤です。

ヤッペ法は有効性、副作用の観点から、日本では第一選択されていません。

WHO が行った レボノゲストレル 群と ヤッペ法群を比較した試験によると、有効性、安全性と
もにレボノゲストレル群の優位性が確認されている。さらに、レボノゲストレル製剤が国内では唯一EC として承認されている点に鑑みても、レボノゲストレル-ECP を第一選択とすることが推奨される。ヤッペ法は、他の緊急避妊法が利用できない場合においてのみ使用する。

引用：日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針（平成 28 年度改訂版）改訂委員会 」　https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000496181.pdf

ピルの処方に基本的に年齢制限はありません。 10代からでも、生理痛の緩和などを目的としてピルの購入・服用できます。

妊娠の確率が高まる時期は排卵日の2日前、次いで排卵日の前日です。 また、精子の寿命は約36～48時間のため、排卵日の6日前から36～48時間ごとに性交することでより妊娠の可能性は高まります。

妊娠を望まない方にとっての名称で、妊娠の可能性が低い日を「安全日」、妊娠の可能性が高い日を「危険日」と一般的に呼んでいます。安全日だからといって性行為を行って確実に妊娠しないわけではありません。
実際に「安全日」や「危険日」は大雑把な目安でしかなく、女性はどの日でも避妊せずに性交渉をすれば妊娠する可能性があります。

生理と排卵の仕組みから分かる安全日・危険日
安全日と危険日を正しく理解するには、生理と排卵の仕組みを知っておくことが大切です。

排卵について
排卵は卵巣内の卵胞で原子細胞が育ち、成熟した卵子になった段階で飛び出し排卵は1ヶ月に1個のペースで成熟し排出されます。排卵した卵子と性交渉によって胎内に到達した精子が受精・着床することで妊娠が成立。
排卵する可能性の低い日が安全日と呼ばれるようになりました。しかし、ストレスや疲労などで排卵するタイミングは簡単に変わってしまい、確実に排卵日を把握することは困難です。

生理について
妊娠が不成立の場合に子宮内膜が脱落・排出される現象のこと。
排卵も生理周期の中に含まれ、排卵された卵子の妊娠が成立しなかった場合に生理が起こります。妊娠に必要な卵子と子宮内膜が排出される生理直後は生理周期の中で比較的妊娠しにくいタイミング。生理直後を「安全日」と考える方もいます。
生理直後は確かに妊娠の可能性は低くなるものの妊娠の可能性がゼロではありません。

安全日とされている生理の前後では、妊娠する確率が0～5％と言われています。
ストレス、疲労などホルモン分泌に影響ある状態が起こると、排卵のタイミングがずれ、予定外の排卵が起きるなどして、実際には妊娠の可能性がゼロではありません。
安全日は　妊娠する可能性が低い　安全性の高い日の事であり　絶対に妊娠しないという　安全な日ではないということになります。