読者
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生まれる前の赤ちゃんに、健康上の問題がないかどうかを調べる検査を、「出生前診断」といいます。
妊娠は嬉しいけれど不安もある…、赤ちゃんは健康に生まれてくれるだろうか…と、妊娠中から不安を抱える方は少なくありません。
お腹に宿った小さな命。親が一番に願うことは、健康な身体で元気に生まれてくれること、ではないでしょうか。
お腹の赤ちゃんが健康か、病気がないかと心配し、なにか少しでも知りたくなるという親心は、ごく自然なものです。
そんなときに、出生前診断を受けようかと迷うのは当然のこととも言えます。
そこで本記事では、出生前診断とは何か、受けなかったら後悔するのか、逆に、受けて後悔することはあるのか、解説していきます。
「命の選別」とも言われ、賛否両論ある出生前診断ですが、実際に検査を受けた人、受けなかった人の体験談なども交えて解説していきますので、参考になさってください。
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出生前診断とは
まずはじめに、出生前診断とは、名前のとおり「生まれる前に赤ちゃんの健康に問題がないかどうか検査・診断すること」です
通常の妊婦健診も、広い意味では出産前診断の一つですが、一般的には、通常の妊婦健診以外の、任意で受ける自由診療検査のことを、出産前診断と呼ぶことが多いです。
出生前診断とは胎児の異常の有無を調べる検査
出生前診断とは、妊娠中に胎児の発育状態や形態異常などを調べ、医師が総合的に診断することです。
なお、日本産科婦人科学会においては、出生前検査・診断の概念は「妊娠中に胎児が何らかの疾患に罹患していると思われる場合や、胎児の異常はあきらかではないが、何らかの理由で胎児が疾患を有する可能性が高くなっていると考えられる場合に、その正確な病態を知る目的で検査を行うこと」であるとされています。
編集部
赤ちゃんの染色体異常の発生リスクは、加齢と共に高まります。
現在は昔より出産年齢が高くなっていることから、胎児が染色体異常を伴う可能性が高い人が増えています。
そのため、ここ10~20年の間に出生前診断が注目されるようになり、平成25年には採血のみですむNIPT(新型出生前診断)が開始され、出生前診断はとても身近な検査になりました。
出生前診断をおこなう目的
出生前診断の目的は、出生前に胎児の状態や病気の有無を調べておくことで、お母さんと赤ちゃんの負担を抑えた最適な分娩方法や治療環境および療育環境を検討することです。
出生前診断で赤ちゃんの状態を調べることで、問題がなかった場合は安心材料のひとつになり、問題があった場合はそれに対して医学的・環境的・精神的な準備をしておくことができます。
出生前診断の種類
編集部
非確定的検査
非確定的検査は、胎児の染色体や遺伝子の異常の可能性があるかどうかを調べるスクリーニング検査です。
NIPT・母体血清マーカー検査(クアトロテスト)・超音波検査は非確定的検査です。
「この病気の可能性がある」とか、「この病気の確率は◯%」という風に可能性を示されるだけで、確定診断には至りません。
非確定検査は母体・胎児へのリスクがほとんどないことが特徴です。
非確定的検査の種類 | 検査可能な週数 | 母体や胎児へのリスク |
---|---|---|
NIPT(新型出生前診断) | 約10週〜 | ほとんどない |
母体血清マーカー検査(クアトロテスト) | 15〜18週 | ほとんどない |
確定的検査
確定的検査は、胎児の染色体や遺伝子の異常を確定診断することができる検査です。
編集部
羊水検査や絨毛検査では、母体への穿刺や胎盤組織の採取をする必要があり、破水・感染・流産などのリスクを伴います。
確定的検査によって、多くの染色体異常や遺伝子を把握することができ、診断の精度はほぼ100%であることが特徴です。
出生前診断では、一般的に、まずリスクのない非確定検査を受け、何らかの異常の可能性を指摘された場合にのみ確定検査に進みます。
確定的検査の種類 | 検査可能な週数 | 母体や胎児へのリスク |
---|---|---|
羊水検査 | 15〜16週以降 | 流産リスク0.3%〜0.5% |
絨毛検査 | 11〜14週 | 流産リスク1% |
出生前診断を受ける割合
2020年に行われた調査では、出生前診断を受けた方の割合は35歳未満で17.1%、35〜39歳で34.7%、40歳以上では59.1%という結果になりました。
高齢出産(35歳以上)であるほど、出生前診断を受ける方が多くなる傾向にあります。
出典:厚生労働省
出生前診断のメリット
出生前診断を受けるかどうか、悩む方は非常に多いです。
出生前診断の最大のメリットは、赤ちゃんの状態を知ることができることです。
編集部
出産前の準備ができる
どんな結果であろうとも、赤ちゃんの状態が分かっていることで、最適な選択になるように出産に向けて準備をすることができます。
医学的な面では、赤ちゃんに問題があることが分かれば、あらかじめMFICU(母体胎児集中治療室)やNICU(新生児集中治療室)など治療体制が整っている病院で出産準備をしたり、出生後速やかに治療を開始したりすることで、赤ちゃんの治療環境を整えて命を守ることが可能です。
状況によっては、胎児のうちに治療できることもあります。
精神的な面では、妊娠中の数ヶ月間で赤ちゃんの病気や障害についての理解を深め、受け入れ、赤ちゃんを迎えるための心の準備をしておくことができます。
出生後にどんな環境を用意するか、赤ちゃんや家族をケアしてくれるところはあるか、保育園はどうするかなど、出生前に先々の生活について考えて行動できる時間があることは大きなメリットです。
安心感を得ることができる
マタニティブルー・妊娠うつ・産後うつという言葉があるように、妊娠中〜産後はメンタルが不安定になることも珍しくありません。
編集部
そのため、赤ちゃんの状態がある程度分かる出生前診断は、不安が大きい妊婦さんの不安を和らげ、心穏やかに妊娠期間を過ごすために一役買ってくれることもあります。
母体や胎児へのリスクがほとんどない
こちらのメリットは、NIPTやクアトロテストなど非確定的検査に限定されますが、出生前診断の中には、母子のリスクがほぼない、安全で簡便な検査もあります。
NIPTやクアトロテストは、採血のみで行われる検査であるため、身体の負担がとても少なく、お腹の赤ちゃんへの影響がありません。
非確定的検査は、羊水検査や絨毛検査と違って痛みや流産などのリスクがほぼないので、身体的な面では気軽に受けることができます。
(一方で、羊水検査などの確定的検査では、痛みや流産リスクなど母子への負担があり得ます。)
出生前診断のデメリット
編集部
メリットとデメリットのそれぞれが重要な要素であるため、両面を知り、よく検討しなければなりません。
出生前診断を受けるかどうか悩む方はとても多いですが正解はありません(どちらの選択も正解と言えます)ので十分に理解し、話し合って下さい。
ここでは、出生前診断にはどんなデメリットがあるかについて解説します。
すべての病気を調べられるわけではない
現時点では、出生前診断は、一部の染色体や遺伝子の異常による疾患が主な検査対象です。
NIPTやクアトロテストでは、ごく一部の異常にしか対応していません。
たとえば、NIPTではダウン症(21トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)の3種類の染色体異常を検査対象としています(一部の施設では、この3つ以外の疾患も検査対象としているところがあります。)
たとえば、自閉症やADHDなどの発達障害、視覚障がいや聴覚障がい、代謝異常などは、出生前診断では分かりません。
編集部
つまり、出生前診断で異常がなくても、出産後に異常が分かったり、成長過程で先天性の疾患が判明したりするのは珍しいことではないのです。
また、先天性の疾患はなくとも、分娩時に障がいを負ったり、成長過程で病気やけがを負って障がいを抱えることもあります。
出生前診断で全ての疾患が分かるわけではない、ということはよく理解しておく必要があります。
検査費用が高額である
編集部
費用面でNIPTなどの出生前診断をあきらめる方も多くいらっしゃいます。
出生前診断を受けなかった方の声
編集部
年齢も高齢出産に差し掛かっていて夫とよく話し受けるつもりでいました。そもそも、もし異常があるなら将来、私たち親が亡くなった時に生きていくのが辛い苦しい難しくなるのなら中絶した方がいいのでは?という考えでした。
けれど、お腹の子のエコーや赤ちゃんを見る度に、結果が悪い時に果たして中絶という判断が出来るのだろうかと迷うようになり、ギリギリまで考えましたが断念しました。
(33歳1人目妊娠中)
私は1人目を39歳。2人目を40歳の時に出産したけど、どちらも出生前診断をしなかった。
妊娠中に
「何があろうと親として授かった命は責任持って育てる」
って覚悟決めたから、検査受ける気にならへんかった。
今でも後悔してない。
私はダウン症の息子を愛してます。参照:X(旧Twitter)
娘を妊娠中、出生前診断は夫婦で話した。私は、堕胎した後悔に苛まれる方が耐えられないと思って、どんな子でも育てようと決めてたので、それに夫が了承した感じで、出生前診断は受けなかった。
参照:X(旧Twitter)
出生前診断を受けた方の声
編集部
もしダウン症の確率が高くても、事前に準備ができるのでよいと前向きな気持ちで考えていました。胎児のことで分かる事は知っておきたかったので検査をいくつかして良かったと思います。夫とも意見が一緒だったことも良かったなと思っています。羊水検査を受けた時は、夫と共に説明も受けて、検査日も共にいきました。
羊水検査については否定的な意見もありますが、事前に障害について知っていた方が準備や知識を知ることができるので良いと思っています。ただ、検査が精神的ストレスになる妊婦はやらない方がいいと思うので、検査については選ぶ自由があって良いと思います。
(28歳で羊水検査)
出生前診断は賛否両論あるけど、やはり受けてよかった。
安心感が違う。参照:X(旧Twitter)
出生前診断、私は受けた。受けなくて後悔するより受けてどんな事実でも受け止めてきちんと考えようと思ったから。結果何も無かったけど、妊娠中の不安は少し減ったから結果良かった。
参照:X(旧Twitter)
出生前診断対応の医療機関
出生前診断は、生まれてくる赤ちゃんや家族にとって、その将来をも左右しかねない重大な検査です。
編集部
費用や簡便さだけでなく、検査前後の説明の有無、遺伝カウンセリング、羊水検査などの確定的検査の実施可否、専門スタッフの有無など、継続的なサポート体制がどのようになっているか、よく調べて医療機関を選びましょう。
編集部
出生前診断に対応している医療施設には、日本医学会が認証した施設と、認証を受けていない施設があります。そのどちらにもそれぞれ特徴があります。
認証施設は、大きな病院であること多く、設備や各種の専門スタッフ、カウンセリングなどのサポート体制が整っていますが、検査を受けられる方の条件を設けているのが通常です。
一方、認証を受けていない施設は、小規模なクリニックの場合が多く、検査までの手順が簡便であったり、オンラインや郵送に対応していたり、妊婦さんの条件を緩和して検査を受けやすくしているといった特徴があります。
編集部
そこで、出生前診断の実績が多く評価が高いことでおすすめできる有名クリニック5つをご紹介します。
NIPT平石クリニック
編集部
- 検査費用はこれまでと変わらない
- 検査を2回行う
- 検査結果は2通届く
NIPT平石クリニックでは、日本のNIPTをリードしてきました。
また、全国に多くの提携クリニックがあるため、お住まいの地域のクリニックで検査を受けることも可能です。
また、認定遺伝カウンセラーが在籍しており、サポート体制が充実しています。
1回の来院で検査が完了するので、忙しい方にもおすすめです。
以下に日本のNIPT業界をリードしてきた平石クリニックの歩みをまとめました。
2018年 | NIPT開始 2018年9月:NIPTを開始。検査結果が陽性の場合、羊水検査費用を全額負担するアフターフォロー体制を整える。 |
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2019年 | ライフコデックス社と業務提携 2019年3月:ドイツ ife codex(ライフコデックス)社と業務提携を開始。 ベリナタ・ヘルス社と業務提携 2019年10月:アメリカ Verinata Health(ベリナタヘルス)社と業務提携を開始。 2019年顧客満足度95% |
2020年 | 認定遺伝カウンセラーの無料電話相談開始 2020年1月:妊婦様が自宅など落ち着いた場所から専門家に相談できるよう、業界で初めて認定遺伝カウンセラーの無料電話相談を開始。認証外施設で最初に認定遺伝カウンセラーが在籍したのは平石クリニック。 妊婦様にマスクを送付 2020年4月:コロナ禍でマスクが手に入りにくい社会情勢を鑑みて、妊婦様にマスクを使っていただけるよう、妊婦様へのマスク送付を開始(累計配布枚数10万枚)。 来院時のタクシー代を負担 2020年4月:コロナ禍でも安心して来院していただけるよう来院時のタクシー代を負担。 2020年顧客満足度97% |
2021年 | 平石貴久院長TV出演 2021年2月:フジテレビ系列「ホンマでっか!?TV」・【ホンマでっか!?人生相談「やるかやらないかはアナタ次第」】に出生前診断評論家として平石貴久院長が出演。 早期検査開始 2021年5月:日本初妊娠6週目からのNIPTを開始。現在(2023年12月)では早期検査を行っているクリニックが増えましたが、日本で最初に早期検査を行ったのは平石クリニック。 2021年顧客満足度97% |
2022年 | 提携院数100院超え 2022年6月:提携院数が日本全国で100院を超える。 メディカバージェネティクス社と業務提携 2022年10月:キプロス Medicover genetics(メディカバージェネティクス)社と業務提携を開始。 2022年顧客満足度95% |
2023年 | 恵比寿移転 2023年2月:平石クリニック本院が六本木から恵比寿に移転。 TVCM放送 2023年3月:TVCM「この子のために、まずやること、できること」篇 放送 最新技術iFACT導入 2023年6月:クオリティチェック機能「iFACT」を導入。偽陽性や偽陰性がさらに少なくなる。 2023年1月~7月顧客満足度 96% |
上記をみてわかるように、実績が豊富で安心できるクリニックです。
検査可能な項目 | ・13トリソミー(パトー症候群) ・18トリソミー(エドワーズ症候群) ・21トリソミー(ダウン症候群) ・性染色体異常 ・全染色体異常 ・微小欠失 |
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検査可能な週数 | 妊娠6週以降 |
検査料金 | 180,000円〜230,000円(税抜) |
陽性後のサポート | 羊水検査費用の全額を負担※ |
公式サイト |
※一部クリニックを除きます。詳しくはお問い合わせください。
NIPT DNA先端医療
- 羊水検査の費用は全額負担
- 当日予約・検査可能
- 無料で認定遺伝カウンセラーに相談できる
NIPT DNA先端医療は、全国各地にあるクリニックで検査することができるので、遠方の方でも検査することができます。
認定遺伝カウンセラーの相談は無料で、羊水検査は全額負担してくれるので、費用に関しても安心です。
また、2023年度妊婦様からの満足度96%と高い数字の機関であるため、安心して検査することができます。
検査可能な項目 | ・1~22番トリソミー検査 ・性染色体検査 ・性別判断 ・微小欠失検査 |
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検査可能な週数 | 約6週から |
検査料金 | 198,000円~ |
対応地域 | 全国各地の連携クリニック |
陽性後のサポート | 羊水検査全額負担 |
公式サイト |
青山ラジュボークリニック
- 遺伝カウンセラーの無料相談を実施
- 検査結果は最短2日
- 当日予約・当日検査可能
青山ラジュボークリニックは、東京にあるクリニックですが、全国各地に連携クリニックを設けています。
24時間年中無休で受け付けており、当日に予約して当日に検査することができます。
クリニック自体は東京ですが、全国各地にクリニックを展開しているめ、東京以外でも利用することが可能です。
検査可能な項目 | ・13.18.21トリソミー検査 ・性染色体検査 ・上記含む全染色体検査(1~22番トリソミー検査) ・微小欠失検査 |
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検査可能な週数 | 約6週から |
検査料金 | 80,000円~ |
対応地域 | 東京 |
陽性後のサポート | 羊水検査全額負担 |
公式サイト |
ミネルバクリニック
ミネルバクリニックは、東京メトロ銀座線の外苑前駅から徒歩1分という便利な場所にあるクリニックです。
土日祝も診療可能で、検査は1回の来院で完結可能であることから、仕事などで普段忙しい方も行きやすいです。
さらに、オンラインNIPTに対応しており、郵送された採血キットで自宅で検査することも可能です。
ミネルバクリニックでは、世界特許の最新技術による第3世代スーパーNIPTを受けることができます。
編集部
また、160以上の幅広い疾患に対応可能で、陽性と診断された場合はサポート体制が充実しています。
ミネルバクリニックの検査費用には遺伝カウンセリング料が含まれているため、追加でかかる費用がなく安心できます。
検査可能な項目 | ・染色体構造異常のリスク ・遺伝子異常のリスク ・性別 ・染色体数異常のリスク |
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検査可能な週数 | 妊娠6週〜 |
検査料金 | 176,000円〜 440,000円 |
陽性後のサポート | ・羊水検査費用15万円まで ・信頼のある病院の紹介 |
公式サイト |
ヒロクリニック
編集部
妊婦一人で来院可能・ネット予約が可能・土日も診療可能であることで人気があります。
海外機関で検体検査を行うことが多いNIPTの中で、ヒロクリニックでは国内の検査機関での実績がとても多いです。
また、遺伝カウンセリング料は有料ですが、検査内容のプランが豊富なので、いらない検査項目を削ることで費用を抑えることができます。
検査可能な項目 | ・21、18、13番染色体トリソミー ・性染色体異数性 ・全常染色体異数性 ・部分欠失・重複 ・微小欠失(4種類) ・単一遺伝子疾患231種類 |
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検査可能な週数 | 妊娠をエコーで確認してから約6週から |
検査料金 | 53,680円〜 |
陽性後のサポート | 最大20万円まで補助 |
公式サイト |
出生前診断にまるわる質問
編集部
出生前診断はしたほうがいいですか?
「安心のためにとりあえず受けてみよう」という安易な考えで出生前診断を受けることはおすすめしません。
赤ちゃんに問題が見つかった場合はどうするのか、確定的検査は受けるのか、その事実をどのように受け入れていくのか、家族でよく話し合って、気持ちを固めた上で出生前診断を受けてください。
出生前診断で異常を指摘された妊婦さんは、100%涙を流し、想像を絶する混乱と葛藤の波にもまれることになります。
9割を超える方が、やむを得ず人工中絶を選んでいる、という現実もあります。
悲しい選択をされた方も、他人からはとうてい分からない苦悩と葛藤の末にそれを選んでいるのです。誰もその選択を責めることはできません。赤ちゃんの命が大切であるのと同様に、実際に産み育てる母親たちの人生と選択もまた大切なのです。
出生前診断には賛否両論あり、そのどちらにも、それぞれの立場からの正当性があります。
生命倫理、命の選別、道徳といった視点も、とても尊く大切です。
が、その一方で、実際に産み育てる母親・家族の価値観も、否定されるべきではありません。
正解がないからこそ、本当によく考え、話し合い、納得して検査を受けるべきであり、慎重に医療機関を選ぶことが大切です。
安易に検査を受けることなく、十分に検討し、十分に話し合い、十分に納得し、心構えを持って検査を受けましょう。
出生前診断の費用はどのくらい?
出生前診断は自由診療であり、保険は適用されず、医療費控除の対象にもならず、全額自己負担です。
費用面は出生前診断の大きなデメリットです。
施設によりますが、NIPTの場合で、トータル20万前後かかります。複数の検査を受ければ、費用はもっとかさみます。
クアトロテストのように、2~3万と比較的安価で受けることができる検査もありますが、出産前診断は、費用面を中心に考えてはいけません。
繰り返しますが、赤ちゃんとの向き合い方をいま一度考え、家族の価値観のすり合わせをすることを大切にして、十分に話し合い、検査を受けるかどうかを慎重に検討してください。
出生前検査を受ける割合は?
出生前診断の1つであるエコー検査は妊婦健診で受けられるので、出生前診断を受ける方の割合は、広い意味でとらえれば100%です。
通常の妊婦健診以外で、染色体異常を調べる出生前診断を受けた方の割合は、40歳未満では10〜30%代ですが、染色体異常のリスクが高い40歳以上では59.1%と半数以上の方が出生前診断を受けています(2020年調査)。妊婦さんの年齢が上がるにつれ、出生前診断を受ける方の割合は高くなっていく傾向にあります。
出生前診断を受けなかったから後悔しないように調べよう
出生前診断には、「出産前に赤ちゃんの状態が分かる」「赤ちゃんに問題があった場合には早めに対処・準備をすることができる」「問題がなければ安心材料の一つになる」という大きなメリットもあります。
ただし、結果によっては大きな混乱と不安をきたしかねません。費用面などのデメリットもあり、羊水検査においてはリスクも伴います。
決して安易な気持ちで受けることなく、妊婦さん自身とご家族で、慎重に決める必要があります。
出生前診断に関して後悔することがないように、家族でよく話し合い、お腹の赤ちゃんにとってのベストな選択を見つけてください。